宗教団体パワフルコスモメイトが大反論国税のスケープゴートにされてたまるか


国税が狙う「宗教法人」改正の動きとは

本誌で2度にわたって取り上げた宗教団体「パワフルコスモメイト」(本部=静岡県大仁町)の深見青山教祖の自宅、株式会社「パワメイト」(当時は株式会社コスモメイト)などが、昨年12月と今年3月、国税当局から「法人税法違反」で家宅捜査を受けた。しかしこの捜査は「信教の自由」を侵害する、との批判もある一方、深見教祖も徹底して闘うとの記者会見を行った。




”離反者も国税のやり方を批判”

 パワフルコスモメイトは神道系の宗教団体で、昭和59年に発足、現在会員は約2万3千人。静岡県田方郡大仁町に皇大神社を建立し、皇大神社の名称で宗教法人認証の申請を準備中である。
 教祖の深見氏は、43歳。各宗教団体で研鑚を積んだ後、昭和52年に“生涯の師”霊能力者の橘カオル女史と出会って、本格的な宗教活動に入った。著書も『強運』(40万部)など多数有り、わが国の伝統宗教である神道を現代に生かすことを目的に、活動を展開。“常に庶民とともに、時代とともに生きるのが真の宗教”との観点から作曲、作詞、声楽、指揮、舞踊、和歌、書など芸術文化を極める姿勢をも貫いている。

 ところで、そもそも国税が捜査に入る経緯を作ったのは、本誌2月号(「コスモメイト訴訟劇にみる原告たち『正体』」)で報じた教団を離脱した元幹部たちが、国税に持ち込んだことによるのではないか、と推測されるのだ。
 ところが、深見青山氏が記者会見した9月5日、離脱した元幹部らは次のような声明を出して「内部紛争の終結」を宣言したのである。「私たちは、かつてともに宗教団体コスモメイト(現パワフルコスモメイト)に所属しておりました。昨年、組織内部において、教祖深見青山氏をめぐる様々な問題から、あるものは組織を追われ、あるものは辞職に追いやられました。そして、その際に、一部のものがコスモメイトは世に問われるものとの信念のもと、いくつかの内部資料を持ち出しました。これらの資料の一部は、マスコミ関係者の手にわたり、また、他の一部は昨年末のコスモメイトに対する国税局の査察の捜査の際に任意提出されたものです。しかし、私たちの信念に基づいた行為ではありましたが、その後引き起こされた事態により、予期せぬ人々を圧迫し、傷つける事態におちいり、深く反省するに至りました。(中略)
 この上は、私たちも信念上のこととはいえ、不法な形で持ち出した資料を所有者であるパワフルコスモメイトに返却するのが道理であると思われます。また、国税当局の質問顛末書において述べたことなどでも、当時の一時の感情から、いきおい誤って言い述べたものであり、是正または取り下げすべきものであると思われます」
 なにやら、告発した本人達が国税のやり方に問題があると言っているのである。となると、国税の姿勢が問われることとなってくる。




”組織は別、営利事業はやってない”

 ところで、国税が2度にわたって強制捜査を行った以上、当然何かあるのでは?と思いたくなるが一般の感覚であろう。要するに、国税は皇大神社(パワフルコスモメイト)と、株式会社コスモメイトの経理が整然となってないことを問題にしているらしいのだが。
 これに対して。パワフルコスモメイトは、次のように反論している。
「皇大神社は、宗教法人として設立準備中の法人なき社団で、現在静岡県に規制の認証準備中です。対外的には、今年の4月まではコスモメイト、それ以降はパワフルコスモメイトの名称を使用しており、パワフルコスモメイトは御親元素大御神(ミオヤモトスオオミカミ)の神仕組みに沿った宗教活動をしています。
 皇大神社とパワフルコスモメイトは税法上も経理上も一体のもので、これは国税当局も認めているものです。
 株式会社パワメイトは講習会、研修会の企画、立案、運営などの業務を目的とする営利法人です。パワフルコスモメイトの前身コスモコアではイベント会場など確保しにくかったこと、また法人格でないと信用してもらいにくいこと、さらには関係者の生計を確保する必要から昭和60年にコスモコアとは別に有限会コスモコアを設立しました。その後、株式会社とし名称も減殺のように変更して今日にいたっています。」
 それが国税から営利至上主義と誤解されたのであろうか。
「6年ほど前に荻窪税務署から、宗教団体と企業の収支を分けるようにと指導され、公認会計士と相談して、きちんとやって参りました。
 パワフルコスモメイトには92ヶ所の支部がありますが、専従スタッフは大都市の7支部のみで、あとはボランティアでやっています。指導する立場の救霊師も応募数の10分の1以下の50人ほどしか選びません。営利目的なら、すべて認めてしまうところでしょうが。
 有限会社コスモメイト(現株式会社パワメイト)は別組織であり、宗教法人を隠れ蓑にして脱税するようなよくあるやり方より、会社組織にしてそこで働いていただくほうが、生活時間もわかっていいということ。きちんと税金も納める。国民の多くがサラリーマンである現在、宗教活動も現在の経済活動と遊離してはいけないと思うからです」
 前述した離脱した元幹部たちは、国税当局から、マスコミに出した書類を提出してほしいとか、パワフルコスモメイトの宗教性を否定する言質を得ようとするような誘導尋問を受けたという。両者はそこに宗教弾圧の危険性を感じたゆえに、「パワフルコスモメイトが信教の自由をうたう憲法20条によって保護されるべき宗教団体に成長しようとし続ける限り、当局の今後の捜査が強引なものであると見受けられれば、意義を述べて行くべきであると思われます」(声明)と危惧に年を抱いているのである。
「国税の弾圧には断固闘う」
だとすれば、ぜひとも深見青山氏の記者会見の詳細な話を聞かなければなるまい。
 深見氏は最初、一連の内紛などについて「不徳の致すところ」とお詫びを述べたあと、パワフルコスモメイトが、純粋たる宗教活動を行っている宗教団体であること、一連の国税当局の査察が「宗教活動を実質的に停止させる宗教弾圧である」と指摘した後、次のように語った。「私たちの組織は現在までは『人格なき社団』として、昭和63年より荻窪税務署に認められており、さらに平成元年に東京国税局資料調査課が強権的捜査をしたおりにも、この件は認められております。そして過去に税務署より更正決定を打たれたこともなく、入出金をごまかしたこともなく、不正、違法な経理として指摘されたこともありません。見解の相違として、どこの会社や法人でも行っているように、修正申告をしただけです。
 こういう健全なる『人格なき社団』を突然、東京国税局の査察部が400人にも及ぶ査察官を派遣して苛酷な捜査をした結果、脱税した巨額の現金も、架空名義の預金通帳も、金塊もプラチナも一切なにも出てきませんでした。このように脱税の犯意も事実も証拠もなかったにもかかわらず、2度に及ぶ強制捜査は10ヶ月も続き、今年は新しい法解釈を導入し、一度認められずの「人格なき社団」を営利事業と決めつけ、課税、刑事被告人、犯罪人に仕立てあげようとする行為は、国家権力の暴挙以外なにものもありません」
 後日、深見氏が他のマスコミに語ったところによると、任意出頭なのに、机をバンバンたたいたり、「犯罪者」扱いするようなかなり高圧的な姿勢を国税はとったという。数百万円の信者を有する教団の疑惑がマスコミで“花盛り”なのだが、強いものにはおとなしい国税の姿勢をかいま見たと思うのは、一人記者のみではないだろう。
 それはともかく、宗教法人として認証の手続き中のパワフルコスモメイトは、深見青山氏が言うように、「人格なき社団」である。ということは、法人税法第7条によって非収益事業による所得に対しては、非課税の対象となっているのである。それももとはといえば、国税の指導のもとに行ったものだというのに、それを突如として宗教団体でないとみなそうといえば、国税の指導の下に行なったものだというのに、それを突如として宗教団体でないとみなそうというのは、果たしてどんなものであろうか。
「2万人の信者がいるパワフルコスモメイトを一方的に宗教団体ではなく、マルチ商法などの類とみなし、宗教団体でないと断定するなどということが許されるのなら、この国に宗教の自由はなくなってしまいます。この暴挙を許せば、いかなる宗教団体でも制度や国家のさじ加減一つで活動は停止させられ、組織は潰されてしまうことになります」(深見青山氏)本誌が過去指摘したように、マスコミもこと宗教に関しては、常に“余談と偏見”がその根底になかったであろうか。宗教といえば、常にタタキの材料として、宗教人の言葉に一切貸そうとしない、週刊誌の煽情的な見出しはそれを物語っていると言えよう。




”宗教法人法改悪と連動!?”

日蓮宗の僧侶で、定評論家の丸山照雄氏は今回の事件について“重大事件”だとして、強く警告するコメントを出している。
「具体的な問題から言いますと、普通の教団に対する税務指導ではありえない。絶対ありえないような宗教活動に対する課税が行なわれようとしている。しかも株式会社の業務として宗教活動を包括してしまえという指導がなされていることを聞いて、おどろいた。
 日本の宗教法人法が改正されるのか、現行のままで推移しないと推測される中で、パワフルコスモメイトに起こった今回の事件は、宗教法人法を悪く改正する一つのターゲットになるのではないかと思います、一般の宗教者にもう少し関心を持っていただきたい問題です。確かに目に余るような会計処理をしている宗教団体もありますから、宗教法人の税制について完全に擁護することでは大変難しい状況です。しかし原則として、国家権力が、宗教教団管理のいわば突破口として、税務指導あるいは会計処理を利用する方向に入りつつある現状をみるにつけ、これはあってはならないことだと考えます。
 特に今回のパワフルコスモメイトが行なっております宗教活動・宗教行事、あるいは儀礼・典礼、こういう活動までも収益事業、いわば利益を伴う事業として会計処理しなさいという指導が行なわれたとなりますと、日本の社会に宗教というものは認められないことになると思います。近い将来に起こってくるであろう、宗教法人法の改正問題とからめて、深見青山氏がこれに抵抗の姿勢を示されているということに共鳴します。この問題を単に一教団を襲った問題としてではなく、宗教界、あるいは有識者の問題としてキャンペーンを広げていきたいと考えます」
 またこれに関連して、深見青山氏は語っている。
「狙いやすいところスケープゴートにして、宗教法人への課税の道を開く国税の政治的意図を強く感じます。全体主義的な国家権力とは徹底して闘うつもりです。法の理不尽な姿勢には身命を賭して闘いますよ」
 部外者からは、宗教団体と国税の“一騎打ち”に見えることだろう。しかし、この問題は、日本人にとってきわめて重いテーマを内包していることだけは確かである。わが国にはかつて大本教が大弾圧を受けるという“暗い歴史”存在している。自由社会を守る意味でもこの問題の推移に対しては、十分な関心を払いたいものである



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